FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ルポ:ニュージーランドの果樹園労働について(6)

 初めの一二週間は同じ作業がひたすら続いた。ホステルに戻ればペンを握ることもできなかった。時間に追われながら何十時間も枝を刈り続けていくと、仕事終わりにふと目に入った自分の手首や車の排気管までが、刈らなければいけないもののように錯覚してくる。六人部屋の窮屈な二段ベッドの上で同じような内容の夢を見ることもよくあった。仕事が始まって三日経ったところで、イーグルはホステルの部屋から出てこなくなった。カイとジョンは「キーウィの枝なんかより人生にはもっと大切なことがある」と言い残して、荷物と一緒に姿を消した。
 

  しかしある程度日数が経過すると作業にも変化があらわれた。ロープを握らない日も出てくるようになった。僕と祐二とマイクは一緒になって喜んだ。ロープは、油の差され具合、錆び、古さによって切れ味に大きな差があり、かなり扱いづらかったからだ。結局二三日後にはまたそれを手にすることになったけど、この期間は束の間の休息だった。足で落ち葉を片付けるだけで終わる日もあった。そんな時、僕は祐二と日本での生活を話したりマイクとイギリスのロックバンドについて話したりした。それでもコリーから叱られることはなかった。落ち葉を蹴って無駄話をしながら地面に四つ葉のクローバーを探している時、これがプルーニングと同じ時給なんだと気付いて、急に馬鹿馬鹿しく思えた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

FC2USER586252FFA

Author:FC2USER586252FFA
都内某W稲D大学三年生 
(ジャーナリズム専攻)

好きなもの:ヘミングウェイ
嫌いなもの:なし

略歴:T県の田舎町に生まれる。親は離婚。大学進学で上京。アメリカの新聞社で就労経験。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。