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ドキュメント:ある少年の物語(1)

(必ずまえがきから読んでください)  


  <二年前・春>前


  高速道路がずっと先まで伸びていた。終わりが見えなかった。道はひたすら真っ直ぐだった。陽の光が反射していた。


  カズキは目を覚ました。もう八時を過ぎていた。急いで着替えると、鏡越しに自分の顔が見えた。大きな鼻が、にきびに覆われていた。
  
  また別のができてる、とカズキは思った。眉毛が細く、目は落ちくぼんでいた。ブサイクな顔だ。どうしてだ。こんな奴、誰か好きになってくれるのか。昔はもっと女の子にも好かれたのに。
  
  カズキは財布とバッグをつかんで学校に向かった。新しい靴を履いて行こう。昨日買ったやつだ。


  ゾンビみたいな奴らだ、あいつらは。カズキは一人で呟いた。何も考えてない。人を馬鹿にして、先生に逆らって、つまんないことで笑って。でもおれは違う。おれは考えてる。ずっとずっとずっと考えてる。あいつらなんかには考えられないことを。テストの点は悪くても、おれは真理を探してる人間だ。存在とは何か、生とは何か。もうずっとこのことばかり考えてる。だって、、、、、、
  
  すれ違った人が眉をひそめてにらんでいった。カズキは口をつぐんだ。


  教室に入ると誰かが笑った。カズキは無視した。ひそひそ声が聞こえるのがわかった。隣の席のリョウタが「おはよう」と言った。カズキもおはよう、と返した。先生はまだ来ていなかった。
  
  後ろで呟いている声が、「なんだよ、あのだせえ靴」と言っていた。カズキは聞こえないふりをした。どうせおれみたいに考えられないくせに。靴なんて、例えば存在することに比べたらゴミみたいなもんじゃないか。靴がなんだ。どうでもいいじゃないか。好きなものを履いて何が悪い。高かったんだ。お前らにはわからないんだ。
  
  リョウタが気にかけていて、カズキは横目でそっちを見た。先生が入ってきた。


  授業の間中、カズキは考え続けていた。存在とは何か、生とは何か。先生が何度もトイレに行っては戻ってきた。もう三回目だ。白髪に醜い口もとをしていた。あの人も結婚できたんなら、おれもいつかはできるだろう。でもいつだろう? ドアが開いたり閉じたりしていた。
  
  相変わらず誰かがおれのことをしゃべってる。前に、おれを突き飛ばして遊んだ時のことをだ。くだらない。おれだってあいつらみたいに、悪いことをしたこともある。リョウタと一緒にだ。酒を飲んでたばこを吸った。あいつらにはできないことだ、きっと。あのゾンビたちは人をいじめるぐらいで精一杯なんだ。
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Author:FC2USER586252FFA
都内某W稲D大学三年生 
(ジャーナリズム専攻)

好きなもの:ヘミングウェイ
嫌いなもの:なし

略歴:T県の田舎町に生まれる。親は離婚。大学進学で上京。アメリカの新聞社で就労経験。

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