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ドキュメント:ある少年の物語(11)

(必ずまえがきから読んでください。これは小説ではありません)  


  <一年前・冬>後


  カズキは風邪を引いていた。頭痛がしていた。視界が霞んでいた。外は寒い日が続いていた。

「カズキくん」
  
  そばを通り過ぎる時にナナが声を掛けてきた。カズキは笑おうとしながら答えた。ナナはその場に立ち止まった。
  
  顔を上げてナナの顔を見ようとした時、カズキはケンジの姿を見つけた。ケンジは戸口に立ってこっちを見ていた。彼の周りには他にもクラスメイトたちがいた。ケンジは彼らに向かって笑いかけ、カズキの方を指差した。誰もがにやにやしながらこっちを見ていた。唇の端に尖った歯がのぞいた。
  
  ナナが話していても、カズキはまともに彼女の方を見れなかった。ケンジたちの笑い声が気になった。恥ずかしくて喉が渇いた。

「カズキくん?」

  ナナは首をかしげて聞いた。カズキは耐えきれなかった。カズキはその場を立ち去った。ナナが驚いたようにこっちを見ていた。ケンジたちは吹き出すように笑った。


  夜、カズキは寝ずにいた。頭が痛かった。鼻がつまった。だけど、それは大したことじゃなかった。カズキにとって、ナナのことしか考えられなかった。ナナの驚いた顔、悲しそうな顔。
  
  おれはなんであんな風に、、、。カズキは悔やんだ。悲しませた、と思った。そう思うとやり切れなかった。
  
  電話しようか。でももう寝てるだろう。謝る方が良いのか。明日直接、、、。
  
  どうせまたあいつらが邪魔するだろう。カズキは思って頭痛が増すのを感じた。いつだってどこでだって、あいつらが邪魔をする、人間たちが邪魔をする。
  
  どうして? とカズキは聞いた。誰かに向かって一人で聞いた。どうしてそっとしておいてくれない? 少しぐらい良い思いをしたっていいじゃないか? どうしていちいち関わってくるんだ? どうして?
  
  自分は呪われている、一生このままだ。結婚、就職、受験、彼女。全てが邪魔されるんだ。このままなんだ。カズキは泣いた。頭が痛かった。ナナのもとから去った方がいいのかもしれないと思った。不公平だと思った。
  
  しばらく経ってからカズキは泣き止んだ。あることに思い当った。


  次の日カズキはツヨシに会った。土曜日で学校はなかった。二人はツヨシの家でゲームをしていた。
  
  カズキの風邪はひどくなっていた。頭がぼんやりとしていた。カズキは「やろう」と言った。ツヨシが画面を見ながら「なにを?」と聞き返した。

「自殺」

  カズキは答えた。それから、「人殺し」と付け加えた。
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Author:FC2USER586252FFA
都内某W稲D大学三年生 
(ジャーナリズム専攻)

好きなもの:ヘミングウェイ
嫌いなもの:なし

略歴:T県の田舎町に生まれる。親は離婚。大学進学で上京。アメリカの新聞社で就労経験。

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